【Introduction of Iwakura256】Visi・Photo:2017.3.18/Write:2026.7.11
□分類:磐座(狭義の磐座)
□信仰状況:民間に祭祀されている。
□岩石の形状:岩組、周囲にストーンサークル
□備考:人工物
□住所:岡山県加賀郡吉備中央町湯山
□緯度経度:34°50'54.57"N 133°43'29.37"E
(googleに入力すれば場所が表示されます
岡山県吉備中央町役場から県道31号を東へ約4km進み、加賀中学校付近から県道484号を南へ約1.5km進むと、清水(せんすい)寺へ向かう道があります。清水寺から約300mの場所に、天王山古代信仰遺跡があります。
この遺跡は吉備中央町指定重要文化財であり、現地には吉備中央町教育委員会による次のような案内板が設置されています。
「直径二十四メートルの楕円形に大型の自然石を並べ、これを示す磐境とし、その中央に五つの巨石を組み合わせて、その上に柱状の石を立てて磐座として、天の神が降臨するのをおまつりして迎えていました。今も木山大権現という小祠をまつって信仰の場所となっています。ここの近いところに古墳時代末期の古墳があり、信仰遺跡はそれよりやや古い時代にまつられたという説もあります。― 吉備中央町教育委員会」
教育委員会が「磐座」と明記している例は非常に珍しく、岡山県ならではの特徴的な事例といえるでしょう。
遺跡は山の一つのピークの上にあり、40数個の自然石を円形に配置したストーンサークルで、直径は約24メートルあります。この配石は神域を区別する結界石であったと考えられます。
結界の内部には、小さな祠が2基と古墳があります。祠は木山大権現と増長天王を祀るものと伝えられており、遺跡名の「天王山」は、この増長天王に由来するものと推測されます。
ストーンサークルの中央部には、5個の巨石を組み合わせた岩組が築かれています。岩には加工された痕跡が認められ、明らかに人工的に構築された遺構です。特に中央には、高さ約1.5mの剣状の岩が直立しており、この遺跡を象徴する特徴となっています。
この造形は船を模ったものと考えています。
このような構造をもつ岩石遺構は全国的にも極めて珍しいものです。
さらに、この中央の岩組は約60度―240度の方位を向いています。この方位は夏至の日の出と冬至の日の入りの方向にほぼ一致することから、太陽の運行を意識して築かれた天文考古学的遺跡である可能性も考えられます。
文化財資料では、この遺跡は平安時代以降のものとされています。しかし、その構造や配石の特徴を考慮すると、さらに古い時代にさかのぼる可能性もあるのではないかと考えられます。
本書では、吉備中央町教育委員会が公式に「磐座」と表記していることから、本遺跡を狭義の磐座に分類します。現在も木山大権現を祀る祠が置かれていることは、その信仰が継承されてきたことを示す一つの根拠といえるでしょう。
一方、増長天王は仏教の守護神である四天王の一尊であり、本来は磐座信仰とは直接の関係はありません。この祠は、神仏習合の時代に信仰が重層化した痕跡を示すものと考えられます。
イワクラハンター平津豊
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