【Introduction of Iwakura252】Visit・Photo:2018.10.21/Write:2026.6.7
□分類:石神(広義のイワクラ)
□信仰状況:民間に祭祀されている。
□岩石の形状:丸石組
□備考:賽の神、道祖神
□住所:山梨県山梨市牧丘町
□緯度経度:35°42'31.23"N 138°42'09.81"E
(googleに入力すれば場所が表示されます
笛吹川の東側を走る、通称「フルーツライン」と呼ばれる県道205号線沿いの五差路の交差点に、七日市場の丸石神が鎮座しています。
丸石神は二段に組まれた台座の上に祀られており、中央には縦横およそ1メートルの球形の石が据えられ、その周囲には直径10~20センチほどの小石が20個ほど並べられています。山梨県内には、このような丸石神が数百か所存在するといわれています。
丸石は、河川の上流から流された石が下流へ移動する過程で角が削られ、球状に近づいたものと、花崗岩が風化する際に外側が玉ねぎの皮のように剥離し、球状となった場合があります。後者の代表的な例としては、【Introduction of Iwakura 41】で紹介した奈良県山添村の長寿岩が知られています。
七日市場の丸石神が五差路という交通の要衝に祀られていることから、その主たる信仰は賽の神(さえのかみ)に由来するものではないかと推測されます。賽の神は村落の境界や辻に置かれ、悪霊や疫病の侵入を防ぐとともに、来訪する神を迎え入れる場所とされてきました。また、旅人の安全を守り、虫送りなどの民俗行事の起点となる役割も担っています。地域によっては道祖神(どうそじん)や岐の神(くなどのかみ)とも呼ばれています。
こうした場所は、さまざまな民間信仰が集積する場でもあります。実際に七日市場の丸石神の隣には、「蚕影山(こかげさん)」と刻まれた石碑が立っています。蚕影山信仰は養蚕や製糸業の繁栄を祈るものであり、かつて養蚕業が盛んであった地域の歴史を物語っています。また、山梨県内の一部地域では、丸石神に常緑樹の枝を飾り、「とんど焼き」の行事が行われることもあるそうです。
山梨の丸石神の性格を考察するうえで重要なのは、その祀られ方が極めて多様である点です。丸石は地面に直接置かれることもあれば、台座の上に据えられることもあります。木枠の中に納められている例や、祠の中に一つだけ祀られている例も見られます。さらに、その所在地も辻や村境だけでなく、神社境内や個人の屋敷内などさまざまです。
つまり、丸石神には統一された祭祀形態や配置の規則がほとんど見られません。共通しているのは、「丸い石そのもの」が信仰の対象となっていることだけです。
また、丸石が石棒とともに祀られている例も存在します。このことから、信仰の源流を縄文時代の「丸い石」への信仰にまで遡って考えることができるでしょう。
主に賽の神として扱われていることから石神に分類しました。
イワクラハンター平津豊
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