0229 山口県 角島の人面石

【Introduction of Iwakura229】Visit・Photo:2026.2.28/Write:2026.3.14


□分類:石造芸術作品(非イワクラ)

□信仰状況:信仰の形跡なし。

□岩石の形状:石単体

□備考:人工物、レリーフ

□住所:山口県下関市豊北町大字角島

□緯度経度:34°21'07.853"N 130°50'53.687"E

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山口県の「つのしま自然館」に、人の顔をかたどった「人面石」が展示されています。石には奇妙な顔がレリーフ状に造形されており、一見すると中国の三星堆遺跡から出土した仮面に似ています。大きな目、つり上がった眉、まっすぐな鼻、厚い唇が特徴で、特に黒目の部分が窪みで表現されている点が印象的です。恐ろしさとユーモラスさを併せ持つ造形ですが、日本の縄文土偶とはやや異質な印象を受けます。

この人面石については、次のような新聞記事があります。

「豊北町角島で、地元の会社員、浜村健吾さん(53)が、人の顔をした奇妙な石を発見した。シュメール人渡来説のある角島で見つかった人面石だけに、「古代人の遺物では」との意見も上がっている。石は縦約十センチ、幅七~九センチのこぶし大。浜村さんが親類の漁を手伝いに行った際、角島の島中央部を通る道路わきで見つけ、つのしま自然館に届け出た。同自然館の熊井清雄館長と町自然観察指導員会の藤岡茂夫さん(80)がユネスコ世界遺産委員会岩石芸術部門日本代表で日本ペトログラフ協会の吉田信啓会長に照会。吉田会長は「四千五百年前に活動していたシュメール系海洋民族が、六千五百年前の曾畑海洋民族が祭祀に使用したものでは」とみている。角島では一九八八年に道路工事で切り出された岩からシュメール人の古代岩刻文字(ペトログラフ)とみられる文様が発見されており、シュメール人渡来説がある。    山口新聞 2008年10月7日」

 

吉田信啓氏は、角島の岩刻画とこの人面石を同じ文化のものと推定しています。しかし、角島の岩刻画(Petroglyph/ペトログリフ)は沈彫によって表現されているのに対し、この人面石は浮彫で造形されています。表現技法が大きく異なることから、むしろ両者は別の文化に属するものと考えるべきでしょう。また、当然ながら、この石だけでシュメール人渡来説を議論することはできませんので、この点についてはひとまず議論の外に置いておくことにします。

この人面石が道端に存在していた理由として、次の三つの可能性が考えられます。

①角島の外から海流によって運ばれ、島に打ち上げられた。

②地中に埋まっていた人面石が、工事などによって地上に現れた。

③誰かが人面石を作り、角島に捨てた。

つのしま自然館には、中国大陸から海流に運ばれてきた関羽像などが展示されており、①の説も魅力的に思えます。しかし、打ち上げられた関羽像は木製であり、この人面石は石でできています。そのため、日本海を渡って漂着した可能性は低いと考えられます。仮に近くの海底から打ち上げられたとすれば、その起点が海底遺跡なのか沈没船なのかという新たな謎が生じます。

②のように、古い時代に造られた人面石が道路工事などによって地中から掘り出され、地上に現れたと考えると、最もロマンのある説です。ただし、この場合は何らかの遺跡が存在し、その一部が工事で破壊されて地上に出てきたことを意味します。しかし、他の遺物が発見されていない点が不可解です。

以上を踏まえると、最も可能性が高いのは③、すなわち誰かが作ったものということになります。何のために作られたのかは製作者本人に聞かなければ分かりませんが、角島で発見されたことを考えると、角島の島民が作った可能性が最も高いと考えられます。仮に島民が作ったものであるならば、新聞で報道され、さらに「つのしま自然館」に展示されていることを知っているはずです。それにもかかわらず、製作者が名乗り出てこないのは不可解です。

分類としては、①および②を積極的に支持する論拠が認められないため、③の可能性が高いと判断し、本例は石造芸術作品(非イワクラ)に分類しました。

なお、このようなアート作品を「つのしま自然館」がなぜ展示しているのかについて、自然館の広瀬館長にお聞きしました。館長によると、この自然館は地域の自然を紹介し、環境教育の拠点となるビジターセンターであるため、角島で話題になった対象物についても資料として保管しているとのことです。もしこれが一般的な博物館であれば、この人面石は展示対象とはならず、無視されて廃棄されていた可能性が高いでしょう。

 

2026/5/24追記、南米のボリビア多民族国にあるプレ・インカ期のティアワナコ(Tiahuanaco)遺跡に岩石で囲まれた長方形の半地下式神殿があります。その壁には、数多くの壁から石で造った顔が飛び出しており、世界の人種の特徴を備えているとも言われていますが、その一つの顔がそっくりなのに気が付きました。これが何を意味するかは、まったくわかりません。

イワクラハンター平津豊

 

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