0219 秋田県 大湯環状列石

【Introduction of Iwakura219】Visit・Photo:2021.4.18/Write:2026.2.11


□分類:目的不明の岩石遺構(広義のイワクラ)

□信仰状況:信仰の形跡なし。

□岩石の形状:石群、ストーンサークル、2重円のサークルが2個、日時計状組石がある

□備考:人工物

□住所:秋田県鹿角市十和田大湯

□緯度経度:40°16'17.98"N 140°48'13.92"E

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秋田県鹿角市十和田大湯に存在する大湯環状列石は、日本を代表するストーンサークルです。万座環状列石と野中堂環状列石が並んで造られており、そのどちらの環状列石にも内帯と外帯の2重円が形成され、日時計状組石と呼ばれる特徴的な組石が内帯と外帯の間に1組造られています。2021年に「北海道・北東北の縄文遺跡群」として17遺跡が世界文化遺産に指定されましたが、この大湯環状列石は、間違いなくその中核となる遺跡です。

5900年前から三内丸山のような大規模な集落が成立していましたが、その後に寒冷化が進み大規模集落が維持できなくなり、小さな集落に分散して住むようになります。その頃に大規模環状列石が現れるのですが、環状列石の周りに人が住んだ跡はほとんど見つかっていません。つまり、環状列石は生活に必要な施設ではなく、祭場、墳墓、天体観測施設など、文化的な施設と考えられるのです。川から8500個の岩石(石英閃緑玢岩が主)を運んで環状列石を形作った「目的」が問題です。

ここで、1956年に川口重一氏が、野中堂環状列石の中心と日時計状配石、万座環状列石の中心と日時計状配石との4点を結んだ線が、夏至の太陽の日没線と一致するため、この遺跡を構築した人々は夏至の到来に重大な関心を持ち夏至観測とそれによって何らかの行事を営んでいたと推測しました。

この説は、大湯ストーンサークル館のガイドが説明し、テレビ等のマスメディアが紹介するまで浸透していました。

しかし、筆者が検証すると万座環状列石の中心から日時計状配石を結ぶラインは289度となりますが、夏至の日の入りの方向は302度なので、その差は13度もあり、とても夏至の太陽を観測していたとは言えません。

川口重一氏が間違った説を提唱したのは、間違った発掘調査図を見たからで、これまで、考古学者が大湯環状列石について報告していた岩石配置図の方位がことごとく間違っている事が判明しました。

この事実を「大湯環状列石の岩石配置図に関する検証」日本天文考古学会会誌Vol.3(2022)として発表すると、マスメディア等が「大湯環状列石が夏至の太陽と関係する」として取り扱うことはなくなったようです。

さて、大湯環状列石が暦を知るための天体観測装置でないのなら、その目的は何でしょうか、1984年から1986年の調査では、遺構群の全ての配石の下に土坑があり、2基から甕棺、1基からは石鏃、1基からは朱塗りの木製品が見つかり、3基の土坑から脂肪酸とコレストロールを検出したため、「墳墓説」が有力となっています。

一方、秋田県北秋田市の伊勢堂岱遺跡や青森県青森市の小牧野遺跡の環状列石には墓が造られておらず、環状列石の成立に必ず墳墓が必要ではないことも事実です。

筆者は、生活を維持するために分散して生活した一族が、決まった時期に環状列石に集まり、お互いの関係を確認しあう祭りの場であったと考えています。

ここでは、「目的不明の岩石遺構」に分類しておきます。

 

イワクラハンター平津豊

 

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[さらに詳細な情報]

平津豊「大湯環状列石の岩石配置図に関する検証」日本天文考古学会誌(J-AASJ )2021-1、vol.3(2022)