0214 静岡県 渭伊神社の天白磐座遺跡

【Introduction of Iwakura214】Visit・Photo:2025.6.28/Write:2026.1.31


□分類:磐座(狭義の磐座)

□信仰状況:神社に祭祀されている。

□岩石の形状:岩群、中心は3個の巨岩、20個以上の岩群

□備考:

□住所:静岡県浜松市浜名区引佐町井伊谷

□緯度経度:34°49'59.73"N 137°39'47.99"E

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浜名湖の北東5キロメートルの所に、渭伊(いい)神社が鎮座しています。この神社の変遷は複雑です。

「渭伊神社 引佐町井伊谷字天白にあり境内二千五百三十五坪 老杉古桧鬱蒼として繁茂し北西南の三方河水回りて(神宮寺川にして又宮川ともいう)其風致最も秀抜なり 由緒創立の年代由緒詳ならざれども 三代実録に貞観八年十二月二十六日授遠江国正六位上蟾渭神 風土記に延喜式神名帳中遠江国引佐郡渭伊神社とあり又江州彦根城主井伊家祖先備中守共保寛弘七年其神井より出生以来産神として信仰厚し 渭伊神社は往昔今の龍潭寺境内にありしも南北兵乱の時現今の地に移せりという 往昔より渭伊二十七郷の大産神なり 旧地頭近藤氏の崇敬厚し 井伊谷村誌より」

866年に蟾渭(ひきい)神に神階が与えられていますが、この蟾渭神が渭伊神社を示すのかどうかの意見は分かれています。927年の延喜式に渭伊神社が記載されているので、神社の創始が927年まで遡ることは確実です。14世紀に、龍潭寺境内から現在の地に移ってきたと書かれています。その後16世紀に八幡宮が合祀された影響で、現在の御祭神は、品陀和気命、息長足比売命、玉依比売命となっています。

また、井伊家の産神として信仰されてきたと書かれていますが、500メートル南方の龍潭寺境内には宗良親王を祀る井伊谷宮があり、その摂社の井伊社には、井伊道政が祀られており、井伊家の氏神です。

この渭伊神社の裏山に「天白(てんぱく)磐座遺跡」という名称の磐座が存在しています。渭伊神社が龍潭寺境内から遷座してきたのであれば、磐座との直接の関係はありませんが、渭伊神社と天白磐座遺跡は40メートルしか離れていません。やはり、この天白磐座遺跡に磐座祭祀が存在したから渭伊神社が遷座してきたと推測します。

渭伊神社境内の看板には、次のように書かれています。

「『延喜式』にその名を載せる渭伊神社本殿の背後にある薬師山の頂上に位置し、約四〇メートル四方にわたって群在する巨石群を神の依代[磐座]として我国屈指の規模を持つ古代祭祀遺跡です。平成元年[一九八七]夏に実施された発掘調査により四世紀後葉[古墳時代前期]から平安時代に至る長期間、連綿と続いた祭祀場であったことが明らかとなりました。とくに高さ七メートルにおよぶ最大の磐座の西壁直下は、古墳時代の祭祀場として限定され、多量の手こね土器や鉄鉾や滑石製勾玉などの祭祀に用いられた遺物が出土しました。また、十二世紀末には末法思想による埋経のための経塚が巨石群の中央に営まれ、渥美製の経筒外容器が和鏡と共に出土しています。この遺跡は渭伊神社の創祀が古墳時代前期までさかのぼることを語るとともに、古代人の精神や宗教観を解明するうえに重要な文化財です。 引佐町」

「天白磐座遺跡」という名称は発掘調査を行なった辰巳和弘氏によって命名されました。渭伊神社の住所が「字天白」であることから名付けられたと考えられます。渭伊神社の駐車場に天白社の祠があることから、この地に天白信仰が存在していた可能性は高いと思います。天白信仰は、星神・水神・荒神を祀る民間信仰で、長野・静岡・三重に多く存在しています。

3個の巨岩が三角形に配置されています。7メートルを超す最も大きな巨岩の西側岩陰から古墳・奈良時代の遺物が、南側から古墳・平安時代の遺物が、2番目に大きな巨岩の東南側の岩陰から平安・鎌倉時代の遺物が出土しています。そして、3個の巨岩が形成する三角形の中心部からは、縄文・弥生・奈良・平安・鎌倉・江戸時代の遺物が出土し、この遺跡が長期間にわたって祭祀場として機能したと考えられます。

イワクラハンター平津豊

 

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