【Introduction of Iwakura199】Visit・Photo:2014.5.4/Write:2025.11.23
□分類:伝説岩石(非イワクラ)
□信仰状況:信仰の形跡なし
□岩石の形状:岩組、直方体の岩が岩に立てかけられている
□備考:
□住所:兵庫県姫路市木場
□緯度経度:34°46'18.982"N 134°43'33.283"E
(googleに入力すれば場所が表示されます
姫路市白浜の小赤壁公園の西端に木庭(きにわ)神社があります。
説明の看板には次のように書かれています。
「木庭神社 当社は、白浜町の松原八幡神社の別宮で、統治の産土神である。元和元年(一六一五年)に木庭の開発の長者三木久右衛門宋栄によって創建されたといわれている。風雨によって大破したため寛保元年(一七四一年)に木場村の医師三木寸斗によって再建されたという。その後、幾度かの改修工事が行われ、現在に至っている。祭神は。天照大神、豊受大神、表筒男命、中筒男命、底筒男命、仲哀天皇、神功皇后、応神天皇、大己貴命、少彦名命の十神。これだけ多くの霊神を祀る神社は、全国でもめずらしい。参道は桜の名所として知られ、毎年七月十五日の夏祭には紙鳥居が建てられ、鳥居の神は無病息災、夏まけ防止のお守りとして親しまれている。 平成五年二月 姫路市教育委員会」
藤本浩一の『磐座紀行(1982)』には、「振り返って社を仰ぐと、向って右には山のように盛り上がっている大岩群、左の方はやや低く横に長く続く大岩と、この一群の岩は天降る神を待ち、この座に招いてまつりが行われていた清浄の場、即ち太古の磐座であったと確信できる。」と書かれています。
木庭神社の東に直方体の岩が大岩に立てかけてあります。筆者はこの岩に注目しています。自然にこの光景が形成されるとは考えにくいからです。
この場所から、真南に海を隔てて10キロメートル先に上島が見えますので、上島から最も近い本州の地点で、木庭神社は上島を遥拝する特別な場所とも言えます。この直方体の岩は、上島に向けられた鏡岩かもしれません。
上島は神島とも言われ、大本が島開きを行なった島として有名です。1900年7月4日、大本の開祖出口なおと聖師出口王仁三郎ら5人の一行は、京都府舞鶴市沖の冠島の老人嶋(おいとじま)神社に参拝し、さらに1ヵ月後の8月2日、開祖・聖師ら一行は冠島に並んで浮かぶ沓島に参拝して、島開きを行ないました。冠島は、籠神社の奥宮であり、彦火明命が最初に天降った場所として伝わります。大本教によると、沓島は、国常立尊・艮の金神(うしとらのこんしん)が、冠島は眷属の神々が落ちて居られた場所だそうです。そして、1916年6月25日、出口王仁三郎ら60人の一行が上島に渡り、神事を行ないました。このとき王仁三郎は女装したといいます。長刀で藪を切り開いて作った広場に背負ってきた宮を据え、石笛を吹き鳴らし、弓を鳴らして四方を清め、神事が行なわれました。大本によると、上島は豊雲野尊・坤の金神(ひつじさるのこんしん)が落ちて居られた場所であるとのことです。その宮は綾部に持ち帰えられ、このことがきっかけとなり、大本の実権が開祖出口なおから聖師出口王仁三郎に移ったといわれています。その後、9月8日には、聖師ら一行6人が再び参拝し、10月4日には、開祖出口なおと聖師出口王仁三郎ら一行百数十人が参拝しました。上島の神島神社は第二次大本弾圧で破壊されましたが、「みろくのおほかみ」の石碑が建立され、現在に至っています。
また、姫路には、神功皇后が戦勝を祈念して麻生山から矢を射たという伝説が残っています(詳しくは【Introduction of Iwakura062】を見てください)。
平野庸脩の『播磨鑑(1909)』には、次のように書かれています。「試みに御弓を引玉ふ的を建玉ふ所印南郡の内也初矢此的の邊にてあだ矢と成落し故に的涯と伝今的形と伝」。この伝説における初矢が落下した場所が姫路市的形町であることに異論はないと思います。この「的」について、『播磨鑑』には「楯岩と伝て木庭山東の方一反面ほと岩有皇后御弓御試の楯岩也」と書かれています。筆者は、この楯岩は木庭神社の東に立てかけられた直方体の岩と考えています(平津説)。一反は約1000平方メートルであり程遠い大きさですが、これを着物の一反の意味であると解釈すると大きさは近づきます。
直方体の岩は、上島と関係する「鏡岩」の可能性があり、また、9世紀以降に作られた神功皇后の伝説に関係する「楯岩」と推測します。江戸時代には、この楯岩の近くに木庭神社が建てられますが、この「楯岩」が忘れ去られていたため、祭祀されることなく現在に至っています。
イワクラハンター平津豊
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