【Introduction of Iwakura191】Visit・Photo:2014.10.26/Write:2025.10.13
□分類:目的不明の岩石遺構(広義のイワクラ)
□信仰状況:信仰の形跡なし。
□岩石の形状:巨岩組、4つの巨岩が積み重なっている
□備考:周りに巨岩群
□住所:高知県土佐清水市松尾
□緯度経度:32°44'42.69"N 132°59'05.31"E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
高知県足摺岬に唐人駄場巨石群があります。
立看板には、次のように唐人駄場巨石群の全体が自然に形成された景観だと書かれています。
「唐人駄場遺跡 縄文早期(七千年程前)の玦状耳飾が出土し、足摺半島最古の人類足跡を記したこの台地には、縄文前期(六千年程前)の擬似縄文土器片につづき、石斧、石錐、石鏃、スクレイパー(ヘラ状の器具)などが出土して、縄文早、前、中期及び弥生の土器片、有史時代の須恵器片と併せて、原始、古代の人々の生活がしのばれる。縄文前期頃には、海汀線は、いまより十五~二〇mも高く縄文海進と呼ばれた。この時代、峯づたいに狩りをして歩いた原始の人々は、冬も暖かく、南向のなだらかな斜面陵丘の続くこの地に住居を定め、海辺に魚貝を獲り、山野に猟をしたことであろう。唐人石と呼ばれるひときわ高く巨大な花崗岩が積重なる岩群は、その下に幾つもの空間をつくり出しているが、これは自然が原始の人々にあたえたビルであり、もの見の塔であり城塞でもあったのではなかろうか。弥生式土器のかけらや、猪囲と呼ぶ石垣の風化は時と人の生活の厳しさを語ってくれる。」
地質学者は、花崗岩の巨大な塊に節理の割れ目が入り、岩石がいくつかの岩に分割され、その割れ目に沿って風化浸食が起こり、岩石が積みあがったような景観が形成されると説明します。
果たしてそうでしょうか。
唐人駄場巨石群は、それぞれの巨岩が仰俯角を持って形成されており、風化浸食による残存景観のようには思えません。
これに関して、唐人駄場巨石群では、1995年頃に姫路工業大学教授の森永速男氏と神戸大学教授の井口博夫氏による古地磁気調査が行われました。
足摺半島の花崗岩は1300万年前に形成されたもので、マグマが冷えて固まるときに、その時の地球の磁場方向と同じ方向の磁化を維持しています。これを残留磁化といいますが、積みあがった岩石が風化浸食による残存景観であるならば、各岩石の残留磁化の方向は一致するはずです。もし、残留磁化の方向が一致しないならば、その岩石は移動・回転していることになります。
唐人駄場巨石群の中の16個体の岩石から、1個体あたり5本のサンプル(径2.5、長さ6センチメートル)を採取して、計80本のサンプルを分析した結果、ほとんどの岩石は相対的に移動や回転を伴って定置したことがわかりました。
これによって、地質学者が主張する風化浸食による残存景観ではないことが科学的に証明されました。
しかし、気を付けないといけないのは、岩石が移動・回転していることは証明されましたが、それが人が行ったものであるかどうかはわからないことです。地震や崩落によっても岩石の移動・回転は起こります。
『雑感:古地磁気研究が縁で関わった「巨石文化!?」を考える』(森永速男、日本天文考古学会誌Vol.6、2024-1、2025)で、森永氏が次のように述べています。
「確実に言える唯一のことは、巨石群が移動・回転しているかどうかであって、それが人工的な作用によるかどうかを述べることはできない。崩落や地震などの自然現象によって巨石が動くことは十分に考えられる。古地磁気調査の結果、ほとんど動いていない巨石配列も一部認められたが、検討したほとんどすべての巨石配列が相対的に移動・回転していることがわかった。」
唐人駄場巨石群の象徴的巨岩組が唐人石です。4個の巨岩が複雑に組みあがって形成されており、自然に形成されたもののようには思えません。
唐人駄場探索協会『黒潮と縄文巨石文明(1999)』によると、この唐人石についても古地磁気調査が行われ、下部の3つの巨岩の残留磁化の方向はほぼ一致しているが、一番上の巨岩の方向が大きく異なることが判明しました。先に述べたように、この一番上の巨岩が人工的に積まれたものなのか、地震や崩落で一番上の岩だけが自然に載ったのかは判断できませんが、風化浸食の残存景観でないことは確かです。
イワクラハンター平津豊
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